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第7回 研究者のための社会実装ワークショップ(2023.6.27)

第7回研究者のための社会実装WSでは、今年度、本学で博士の学位を取得した祖父江基史氏(株式会社ナノルクス、代表取締役社長)にご講演をお願いいたしました。なぜベンチャー企業の経営をしながら博士学位の取得を志したのか、これからの博士学位取得者の社会での役割は何か等、祖父江氏のご経験やお考えを伺う貴重な機会となりますので、ぜひご参加ください。

第7回 研究者のための社会実装ワークショップ

開催日時:

2023年6月27日(火)17:00〜18:00

会場/方法:

ハイブリッド開催(オンサイト+オンライン)
オンサイト:CDGコモンズ(学際融合領域研究棟1号館2階、多数の場合、入場規制あり)
オンライン:Zoom

申込方法:

参加申し込みはこちら

講演者:祖父江 基史 氏(株式会社ナノルクス、代表取締役社長)

演題:技術系ベンチャー企業を経営して-自分の経験から気づいたこと

要旨:

 日本では、ベンチャー企業から発展する会社の数は千三つのように少ないと言われています。ベンチャーの帰趨がこれからの日本にとって重要なのは論を待たない所ですが、「自分でやるのはちょっと」と思われがちです。私は、大企業で約25年務めたのちに、「真っ暗でも、カラー映像できる」カラー暗視技術のビジネス化に取り組むベンチャー企業・(株)ナノクルスの社長に就任しました。「やってみたら案外と障害が少ない」と感じられたベンチャー企業の実像を紹介します。

 カラー暗視技術は、国立の産業技術総合研究所で開発され、ナノクルスに移転された技術です。用途は、監視・車載カメラなど高い成長が見込める分野です。当企業を立ち上げた2年前は、技術者との2名だけで資金もありませんでした。その後、経済産業省の助成金も獲得でき本格的な製造販売の段階に至って、約8年間活動しています。
 ベンチャーについては、①「リスクが高すぎる」、②「組織を離れると誰も守ってくれず不安」、③「自分にビジネスのアイデアがない」、の印象が持たれています。しかし、①の「高いリスク」では、日本社会はベンチャーに好意的で、公的な助成も経済産業省他、幾つもあり、採用率も数十%と現実的なものが多いです。全額支給される訳ではないので現金も必要ですが、銀行借入でも社長保証なく必要資金を得られました。ベンチャーキャピタルも創業期の企業に対して積極的に資金提供をしています。企業勤めもローリスクとは言えない今日、「ミドルリスク・ローリターン」な企業勤務に比べ、ベンチャーは「ミドルリスク・ハイリターン」と感じます。②の「守ってくれない」では、企業勤めのときも社内の上司等への説明・承認が必要だったのに対し、ベンチャーではそれが顧客、製造協力者、資金提供者に変わっただけで、相手にとって利があると思えば当方の提案を受け入れてくれることに大きな違いはありません。③の「ビジネスのアイデアがない」では、アジアの新興国に比べ遥かに多い技術の蓄積を持っている日本では、不足しているのは経営者であり、企業での真剣勝負で成功や失敗を重ねた人なら環境が変わっても十分にやって行けます。ベンチャーは若い人が向いていると思われがちですが、アメリカでも起業家の平均年齢は40歳を超えています。
 2年弱のベンチャー経験を振り返ると役に立ったものの1つは英語です。最初の資金調達(2017年5月)に台湾大手IT企業から1億円の出資を即断してもらえたのは、自分の意図や意欲を伝えられる英語力があったためです。もう1つは事前にベンチャーの世界に触れていたことで、大企業勤務の時からベンチャー企業のサポートをしていたことが役立ちました。個人の能力を引き出すには、学術研究に徹することも必要でしょうが、工学は使われて初めて人の役に立つ面があると思います。個人の能力を解き放つベンチャーの道が広がることで多面的な活躍の場が広がると考えます。

主催:デジタルグリーンイノベーションセンター(CDG)

お問合せ:こちら